あんこさんのこと
コーギーのなにがいいって、尻がいい。
尻尾がないと、うれしいのかどうか不安だったりするんだけど、これはこれで味わいがあっていいものである……。
ちょ、ブリオ、白目! 白目!
さてワクチン接種から一晩明け、ブリオさんはむちゃくちゃ元気である。ワクチン? なにそれ、打ったっけ? って感じ。ちょっと気だるげでアンニュイな鰤ちゃんも見たかったんだけど、まあ、元気なことはいいことだ。
そういえば鰤は今日で生後3ヶ月である。おめでとう。昨日病院で体重を計ってもらったところ、3.5kgになっていた。うちにきて16日で900g増。獣医さんには、いいペースなのでこのままで、と褒めていただいた。カロリー計算してる甲斐があるってもんだ。いや、適当だけど。
附箋を見つけて大喜び
鰤が来てから毎日掃除をするようになった。うれしい誤算である。基本的に、危ないものと借りてるもの以外はなんでも触らせたり噛ませたりしている。あとは高いものとかもダメだけど……いや、うちに高いものなどなかった……。本格的にくっちゃくっちゃし始めたら口をこじ開けて取り上げるが、飲み込まない限りは好きにさせている。犬との付き合いにそれほど不安がないのは、おそらく昔犬を飼っていたことがあるからだろう。雑種のメスで、あんこという名だった。
あんこは隣のおうちでワンサカ生まれた雑種のうちの一匹で、おひとついかがってな具合でうちに来た。三十年も前のことだし、わたしは当時のことをまったく覚えていないが、あんこのことはあまり好きじゃなかった。あんこも、わたしのことを何ともおもってなくて、わたしたちは全然仲良しじゃなかった。あんこは十数年生きて、わたしが高校生のときに突然死んだ。いつも庭につながれていて、一日一回散歩には連れて行ってもらっていたが、お手もおすわりもハウスもできなかったし、おもちゃで遊んでもらったことも、おやつをもらったことも、生涯で一度もなかったんじゃないかとおもう。ワクチンの接種も、狂犬病の予防も、フィラリアやノミやダニの予防も、なにもされてなかった(たぶん。親がやってたのかもしれないけど)。それでも、うちのおかあさんはあんこをのこと大事に想っていたし、あんこも母のことを慕っていたようにおもう。そういうひとが世界中にひとりでもいて、あんこの犬生は決してわるくなかったんじゃないかと、なんとなくおもう。
鰤の世話をしながら、どうしてもあんこと比べて、過保護だなあと自分で笑ってしまう。一日の摂取カロリーを計ったり、知育おもちゃを買ってみたり、ちょっとバカみたいだなとおもうこともある。まあ、時代が違うし、場所が違うし、それになによりも、わたしがいま鰤のことをなんとなく好いていて、こんな接し方もわるくないなと感じているから、きっとこれでいいんだろう。わたしが五十路を越えても付き合ってもらうんだ。のんびりいこう。